トップ公式記録員とは 第3回 

公式記録員が行く〜関西独立リーグの舞台裏

 当日行ってみると、会場は実に静かなものだった。テレビカメラはおろか、記者すら来ていない。そう、やはり中村社長は来なかったのだ。

 主催者に聞いてみると、当日の朝に中村社長が断わりの電話を入れてきたのだという。やっぱり行ける状況ではない、と。

 結局は肩透かしを食らった格好になってしまった。
 翌日、スポーツ報知には「ステラの中村社長が講演ドタキャン!」という記事が出ていた。主催者の名前とコメントも書かれている。主催者も中村社長のおかげで有名人になったものだ。

 運営会社が突然撤退したのだから、関西独立リーグが困らないわけがない。しかも分配金が全くの未払いである。人手不足になるのは目に見えていた。

 そこで、僕に白羽の矢が立ったわけだ。今季の阪神戦では全ての試合をスコアブックにつけている。冒頭で僕に電話をかけてきた人物は、そのことを知っていたのだ。

公式記録員および場内アナウンスの責任者である女性に電話して、条件面などを聞いた。なんと、ステラが運営していたときは、裏方さんの給料は未払いだったという。こんな酷い話があるか。無責任も甚だしい。これでは人手不足に陥るのは当然だ。もちろん、新体制ではそんなことはしない、と責任者の女性は言っていた。

 僕が参加できる日のみで構わないのなら、という条件で、関西独立リーグの公式記録員として参加することをOKした。
 ただし、スコアブックをつけられるとはいえ、僕には公式記録員としての経験が全くない。ぶっつけ本番ではリスクが大きすぎる。
 そこで、最初は他の公式記録員が担当する試合で、助手として参加することを提案し、了承された。
 もちろん、その試合はノーギャラである。

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