トップ公式記録員とは 第6回 

公式記録員が行く〜関西独立リーグの舞台裏

 そのイヤ〜な予感は初回にいきなり的中した。
一回裏、大阪の攻撃で一、二番が連続ヒット、三番が送りバント。ピッチャーがボールを捕って三塁へ送球、ところが悪送球になって二塁ランナーは一気に生還した。

二塁ランナーが生還したのは悪送球によるもので問題ないが、問題は悪送球がなければ三塁はアウトになったか否か、である。実に微妙なタイミングで、アウトと判断されればエラー、セーフと判断されれば野手選択となる。
エラーと野手選択では、自責点に大きく影響する。


僕と公式記録員は相談して、このプレーは犠打野選、悪送球による失点ということにした。
この失点はエラーによるものだから自責点は付かないのだが、その後の失点は自責点になるか否かが混乱した。またその後、大阪は気持ちよく打ってくれて次から次へと点が入り、この回一挙6点。
ますます自責点の計算がややこしくなった。

この自責点については試合後に検証しましょうと、公式記録員と相談して、この問題は後回しにした。

しかし、よく考えれば、野手選択に関しては以前に調べたことがある。

野手選択とはエラーと違って守備のミスプレーではないのだから、野手選択によって生きた走者は全て自責点の対象になるということだ。

したがって、最初の点はピッチャーが悪送球(エラー)したものなので自責点にはならないが、それ以外の走者はエラーではなく野手選択で生きたものなので、自責点の対象となる。

こんなことを気にしながらも、目の前のゲームを追わなければならない。できれば試合中でも記録の集計をしたいが、そんな余裕はない。いっときも目は離せないのだ。目を離した瞬間にプレーが始まっていることもある。
今日のように二人がスコアをとっていれば確認することも可能だが、一人の場合はそうはいかない。下見に来ておいてよかった。

もしぶっつけ本番で、一人で公式記録員をしていたら、間違いなく混乱していただろう。

試合終了。

大阪が9対0で圧勝して、前期優勝が決まった。

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