トップ公式記録員が行く 第10回 

公式記録員が行く〜関西独立リーグの舞台裏

慌ただしく放送室に駆け込むと、既にメンバー交換が終わった後だった。

本来なら公式記録員の僕が立ち会わなければならないのだが、遅刻してしまったのでそれを行うことができなかった。両軍のメンバー表をもらい、スコアシートに必要事項を記入していく。
試合前のセレモニーには神戸9クルーズの中田良弘監督や吉田えりちゃんも当然参加していたが、じっくりと見る余裕もない。

結論から言えば、残念ながら今日は吉田えりちゃんの登板はなかった。

放送室には、一番右端が僕、その隣りにウグイス嬢、その隣りに神戸9クルーズのスタッフの女の子がスコアを付け、その隣りにスコアボードを操作する女性。この4人で右半分を占める。左半分には、控えの選手たちが陣取っていた。
今日担当のウグイス嬢は野球の試合での場内アナウンスはあまり経験がないらしく、かなり緊張していた。
実は、今日のスコアボードを操作する女性は、前回の龍間グラウンドで、僕が下見をさせていただいたときにウグイス嬢を務めていた方。野球知識が豊富で、彼女の存在は実に心強い。前にも書いたとおり、ご子息は高校で野球をやっている。しかも兵庫県では名の知れた強豪校だ。母親とすれば、夏の高校野球地方大会が始まるこの時期は、ご子息の高校の成績が気になるところだ。
試合前、ウグイス嬢が両チームのメンバー発表をし、審判団を紹介した後に、最後に付け加えた。

「公式記録員は、○○川」

まあ、僕の本名が球場内に響き渡ったわけで何とも面映ゆかったが、ウグイス嬢のすぐ隣りで聞いているので、場内に流れているという実感はあまりない。

かくして、試合は始まった。
1回表、大阪ゴールドビリケーンズの攻撃。前回の下見の時に見た元阪神の平下が初球攻撃でいきなりヒット。
おいおい、もうちょっと見ていけよ。初球から打っちゃ、慌ただしくてたまらんぜ。
その後、平下は封殺でランナー入れ替わりとなったが、盗塁あり、さらに重盗ありで、初回からややこしい展開。
結局、この回は大阪が1点先制して終了。

その裏、またややこしい展開を見せる。
ボテボテのゴロをサードが弾く。
「うーん、今のはエラー!」
ちょっと迷ったが、いやしくもプロを名乗るならあれぐらいはアウトにして当然でしょ、と思ってエラーと判定した。

次打者が打った打球はセカンドゴロ。
セカンドは二塁送球したが、これが悪送球。おいおい、連続エラーかよ……。先が思いやられる。
打者走者を含む走者がそれぞれ二、三塁に進塁。
一死二、三塁から次打者がセカンドゴロ、セカンドからバックホーム!三塁走者はホーム寸前でタッチアウトとなった。

スコアブックに記入するにはちょっとややこしいプレーである。
一つ一つを見てみるとどうってことないプレーだが、連続して起こるとややこしくなる。

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