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コラム@ 墨谷の里を訪ねて
『キャプテン』や『プレイボール』の舞台となっている「墨谷」とは東京23区内という設定になっていることは間違いないが、残念ながら東京都に「墨谷」なる地名はない。そこでこの「墨谷」のモデルとなっている地区を探ってみた。
まず、本文でも書いているように、「墨谷」が「墨田区」から取ったものだということは容易に想像できる。では、墨田区のどの辺りなのか?
そこで、「墨谷」のモデルは墨田区の荒川沿いと仮定して、「下町駅」「墨谷駅」のような駅を地図で探してみた。まず、この条件に当てはまる路線は国鉄(現在のJR)総武線、京成、東武伊勢崎線だった。
それぞれの路線を検討してみると、墨谷高が川北商と練習試合をするために市川まで急行で行っている(プ8巻167頁)。たしかに国鉄総武線は市川を通るが、国鉄の急行に乗る場合は急行券が必要なので、国鉄に乗ったとは考えにくい。つまり、国鉄総武線はこれで消える。
次に東武伊勢崎線だが、こちらはたしかに荒川近くも走るが、どちらかというと隅田川に近い。しかし『キャプテン』や『プレイボール』では隅田川らしき川は出てこないのだ。
そこで、京成押上線の可能性を考えてみた。山本は子供の頃、よくあおと青砥あたりにザリガニ獲りに行っていたそうだ(プ11巻20頁)。青砥駅といえば、京成本線と押上線の乗換駅である。さらに、駒沢球場からの帰り、「上船駅」という駅で乗り換えようとしている(プ16巻7頁)。
これは明らかに、京成押上線の「押上駅」と「京成曳舟駅」を合わせた駅名だ。なお、東武伊勢崎線にも「押上駅」と「曳舟駅」があるが、当時は押上駅には乗り入れていなかった。