トップ野球少年の郷第38回
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第三章 墨谷第二中学校 丸井キャプテン編(キャプテン 五〜九巻)−9

A墨谷二中×江東中(地区予選四回戦)球場=不明

 江 東 00=0
 墨谷二 610=16 (江東の試合放棄により墨二の二回コールド勝ち)
 勝=近藤 負=江東@ 本=丸井(江東@)

 第一シード校のため地区予選四回戦から登場した墨二は三回戦を勝ち抜いた江東と対戦。しかし墨二は江東を寄せ付けず、攻撃では偵察している青葉に手の内を見せないために細かいプレーを一切封印して豪快に打ちまくり、守っては近藤の奪三振ショーで、二回途中で一六―〇。審判団の勧告により江東は試合放棄、墨二の二回コールド勝ちとなった。

 B墨谷二中×向島中(地区予選五回戦)球場=不明
 C墨谷二中×福山中(地区予選準々決勝)球場=不明
 D墨谷二中×柳島中(地区予選準決勝)球場=不明

 B〜Dは全て墨二の三回コールド勝ちで決勝戦進出。その他の詳細は一切不明。

 〈検証〉墨二、圧倒的戦力で決勝進出

 地区予選が開幕した。と言っても墨二は第一シードのため四回戦からの登場である。現実世界の高校野球では、東京などではシード校は三回戦からだから、墨二は(青葉学院も)かなり優遇されている。もっとも、年によってシード制は違うのかも知れない。

 墨二にとっての初戦は江東が相手だった。このとき、墨二ナインは冬服で球場にやってきているから(キ七巻一六二頁)、やっぱり夏休みが終わってから地区予選が行われているのかも知れない。もっとも、衣替えは普通一〇月だから、いくらなんでも遅すぎると思うが。

 それはともかく、三回戦を既に勝ち抜いた江東であっても、ハッキリ言って墨二の相手ではなかった。青葉ナインが見ているために、手の内を見せないプレーで江東を圧倒、二回裏の墨二の攻撃途中で江東がギブアップ。一六―〇の二回コールドで一蹴した(キ八巻四一頁)。しかし、本来なら放棄試合なのだから、九―〇になるはずなのだが、審判がそう言っているのだから仕方がない。

 ちなみに、現実世界での高校野球の最多得点差は、一九九八年、夏の青森大会二回戦、東奥義塾×深浦の一二二―〇(七回コールド)で東奥義塾が勝った試合である。一二二点とは取りも取ったりだが、当時の青森大会のコールド規定が七回以降だったから、これだけの点差になった。このときの審判は両チームにまだ続けるかと途中で何度も訊いたそうだが、決してギブアップしなかった。そう考えると『キャプテン』世界では三回コールドもあるのだから、二回で一六点差程度でギブアップした江東はいささか情けないとも思える。なにしろ深浦高校は初回に三九点も取られたのだ。

 また、手の内を見せずに二回コールドとは凄いと青葉の佐野が驚いているが(キ八巻四三頁)手の内を見せなかったからこそこれだけの点差がついたとも言える。手の内を見せないとは要するに、犠牲バントなどをせずに自由に打ちまくるということだ。これだけの力の差があれば、バントでアウトを取られるよりも打ちまくった方が点差が開くに決まっている。墨二が細かいプレーをしていれば、江東ももう少しもっただろう。

 江東戦の圧勝を皮切りに、墨二は手の内を見せないプレーで向島、福山、柳島を三回コールドで圧倒した(キ八巻六二頁)。なお、準決勝までの対戦相手はトーナメント表を参考にした(キ八巻四八頁)。三年生エースになった松川を擁する隅田や、井口のいる江田川はこの年の成績はどうだったのだろう?

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