トップ野球少年の郷第45回
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第四章 墨谷高等学校 谷口二年生編(プレイボール 八〜一八巻)−4

〈検証〉五人の新入部員

 谷口が成績を三つも下げたシーズンオフを終え(プ一〇巻四五頁)、二年生になった。つまり、一年生部員が入ってくる季節だ。墨高野球部も当然新入部員募集をするが、三回戦進出という好成績がかえって一年生たちを敬遠させる結果となった(プ一〇巻六三頁)。この現象に対して、中山と山口が三回戦進出のことを「準準((ママ))決勝進出」と言っているが(プ一〇巻六四頁)、三回戦が準々決勝だとあまりにも出場校数が少なすぎる。だいいち、シード校は一試合もしなくていきなりベスト8だ。東京ではこんなことはありえないので、この「準準決勝」という記述は無視する。なお、翌年は六回戦が準々決勝になっていて、これは妥当だ(プ一八巻一〇七頁)。
 しかし倉橋が隅田中でエースをしていた後輩の松川を紹介すると、状況が一変した(プ一〇巻六六頁)。この松川、例の準決勝で墨谷二中を最後まで苦しめたエースである。

 その直後、墨谷二中で活躍した加藤と島田も入部することがわかった(プ一〇巻七一頁)。谷口が知らなかったところを見ると(プ一〇巻七三頁)、谷口は後輩の勧誘を一切していなかったらしい。ちなみに丸井は墨高受験を失敗して(プ一〇巻一二二頁)、その後は朝日高校に合格し、同校には硬式野球部が無いため軟式野球部に入部した(キ九巻一四八頁)。

 この三名の他には中川一中のキャプテンを務めていた須藤、大島中の四番でサードだった村瀬が入部、新入部員は計五名となった。質的には申し分ない。

 ただし、硬式野球経験者はいない。そのせいか、守備では跳ねない硬球が災いして島田が突き指したり(プ一〇巻一二七頁)、打っても須藤が中山の球すら球威に負けてしまうほどだった(プ一〇巻一一一頁)。もっとも、中山の球も二年生時に比べて球威が増したようだが(プ一〇巻一一四頁)。なにしろ須藤は中山の球を、けっこう速い、と思っているのだから(プ一〇巻一一〇頁)。

 初日の練習後、カツ丼による新入部員歓迎会が催され、谷口が「赤とんぼ」を見事なオンチで熱唱した(プ一〇巻一三三頁)。

 新入部員たちは硬球にもたちまち慣れ、上級生を焦らせてしまうほどだった。そんな中で松川が初ブルペン、自慢の重い速球を披露した(プ一〇巻一五八頁)。はっきり言って中山の相手ではない。さらにフリーバッティングでも登板。ここはさすがにレギュラー陣も意地を見せ、半年前までは野球経験が無かった鈴木もヒット性の当たりを打っている(プ一〇巻一六八頁)。しかし、松川は谷口に次ぐ投手として使えることを証明した。

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